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霧島市, 鹿児島県, Japan
造園施工管理技士、土木施工管理技士、公害防止管理者(大気、水質各1種、 騒音、振動)

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2015年2月18日水曜日

カンポス ド ジョルドンとサンジョアキンのイペーの種子育成と関東、霧島市付近の気候

 耐寒性の強いイペーを求めて試験栽培を続けています。多くの方々のご尽力でブラジルでは冷涼な気候の標記地区に生育しているイペーアマレーロの種子を2015年2月に入手することができ、早速試験栽培を開始しました。ブラジルの両地区の気候を調べるとともに、日本の関東、霧島市近辺の気候と比較しました。イペーの国内展開に向けてのご参考になれば幸甚です。 

①カンポス ド ジョルドン(サンパウロ州)の種子
  2015年2月6日夕刻、標記種子到着(植物検疫済)、即刻播種。有隅先生と小出さんに分送。播種後3.5日で発芽。
 
 
写真-①-1:カンポス ド ジョルドンの種子を採取した親木(標高1,600m)雄三様2014年撮影
場所:Avenida Tassaburo Yamaguchi 1756番地
 
写真①-2:2015年3月辻様撮影
カンポス親木・1


写真①-3同上
カンポス親木・2

写真-②カンポス ド ジョルドンのイペーアマレーの種子(辻様採種、砂古さん、池田さん経由)
 
 
写真-③辻雄三氏(左:サンパウロ新聞より転載) 
 
 
②サンジョアキン(サンタカタリーナ州)の種子(大谷周様・SJ-Ⅰ/11月末、角忠三郎様・SJ-Ⅱ/12月23日採種、池田さん経由)
   2月18日14時に種子が到着したので、即刻播種しました。市内の公園(標高1,400m弱)の親木から採種した。
写真-④


写真-⑤採種して頂いた角忠三郎氏(左)

)角さん(左


写真-⑥サンジョアキンの高地にある農園の様子です。種子を採種して頂いた大谷周様達が頑張っておられます。
[写真説明]
白い網は、雹(ひょう)対策の役目を果たしつつおいしいブドウに必要な日光を遮らない
 

大谷周様


  サンパウロ新聞 2011年12月7日付 の一部引用
 SANJOは、近代的な建築物が立ち並ぶ州都フロリアノポリス市から南西へ236キロの町、サンジョアキン市に1993年、設立された。同市では、寒冷な気候を利用して前身のコチア産業組合時代からリンゴ栽培に長年取り組んでおり、国産リンゴの産地として知られる。
 同市の農業事情に詳しい細井健志さん(67、京都)、大谷周さん(72、兵庫)によると、良質と言われるワイン用のブドウの栽培条件は、標高が高く収穫時期に乾燥していることだという。
SANJOのブドウ畑の標高は1200~1400メートル。最低でも1千メートルを厳守している。
 サンパウロ新聞の上記記事全文:
       http://www.saopauloshimbun.com/index.php/conteudo/show/id/6927/cat/105
     

写真⑦ サンジョアキン市内の公園のイペー
サンジョアキンのイペーその1・1
                           次の資料より引用:http://www.panoramio.com/photo/79386544

写真⑧ 上の写真の木を google earth で探した。上の木を正面から見る(開花の写真の正反対)。
サンジョアキンのイペー
もう1本
サンジョアキン・5
上の木の google earth
サンジョアキン・4
もう1本
サンジョアキン・イペー---3
上の木の google earth 2本のイペーの葉の出る時期が異なる。
サンジョアキン・イペー---2

  写真-⑨カンポス ド ジョルドン(下の写真右)とサンジョアキン(左)の種子の生育状況
  それぞれ、2月6日と2月18日に播種した。前者は4cm程度に伸びて本葉が出始めた。パウブラジルの苗が3本見えるが、小さなものまで7本活着しそう。写真の上端に電気毛布が見える。夜はこれに薄い透明なビニールシートと毛布、寒い夜は自分の丹前をかけて30~40℃で管理。
  2月18日夕刻撮影
DSC03664

    苗は順調に生育しています。上の写真撮影の20日あとの様子です。
写真-⑩カンポスドジョルドンの生育状況:3月11日撮影
DSC03678



写真-⑪サンジョアキン(SJ-Ⅱ)の生育状況:3月11日撮影
DSC03682


  サンジョアキン-Ⅰ(SJ-Ⅰ)の生育状況
  当初、SJ-Ⅱと同じ親木からの種子だろうと考えて播種しなかったが、念のため3月9日に播種した。100本くらいが発芽したが、ほとんどが根腐れで枯れ死して、写真-⑨の状態になった。

写真-⑫:3月14日撮影
DSC03703
  根腐れしたものの中に写真-⑬と⑭(同じもの)のように、発根するものが出てきた。写真-⑨の最上部の爪楊枝の手前の苗を抜いて撮影。最手前の元気な2本だけが根腐れせず成長している。このトレーに3月9日、SJ-Ⅰを100粒くらい追い蒔きした。
       写真-⑬:3月14日撮影           写真-⑭:3月14日撮影
     DSC03687DSC03698
               


  上記3種類の種子を採取した地域の位置と気候を日本と比較してみる。
                        
カンポスドジョルドン(サンパウロ州) 南緯22度44分東経45度36分標高1,600m 雄三様
サンジョアキン(サンタカタリーナ州) 南緯28度18分東経49度56分標高1,400m 大谷周様(SJ-Ⅰ) 角忠三郎様(SJ-Ⅱ
    

      
 簡単に両地区を比較すると、例えば緯度では台湾南端と名瀬市、単なる緯度差では鹿児島市と新潟市程度の差があるが、両地ともにブラジルでは寒冷地に属する。両地区は約1,000Km離れており、ともに冬場は零下7度以下を記録したことがある(下記データ参照)。

      写真-⑮黄色いピンが目印
 
  
   近年で最も寒かった2012年2月3日の自宅近くの観測点である牧の原の最低気温を調べた。この朝、拙宅の庭の水鉢に厚さ2cmの氷が張り、ハンマーでないと割れなかった。自宅は海に近く(3Km)標高8mだが、霧島降しが吹き寒い。自宅の気温は確認しなかったが、零下7℃前後にはなったと思われる。因みに、霧島市近辺で、この年のイペーの開花は全く見られなかった。
 2015年2月9日未明に前田農園(畑)で零下5.3度、氷の厚み7㎜を確認したが、2012年の寒さには及ばなかったようだ。観測点で気温にはかなりの差がある。
 標高8mの自宅より400m弱高い位置にある牧の原は通常2~3℃気温が低いが、2月9日は零下2.8℃、2月9日は零下3.2℃と、自宅の2月9日未明の零下5.3℃より暖かかった(表⑦参照)
 
   
   2012年2月3日の記録:
   鹿児島市 ー2.9℃
   霧島市溝辺 ー7.7℃(自宅の近く、直線10.3Km 標高272m)
   霧島市牧之原ー6.4℃(自宅の近く、直線8.1Km 標高387m)
   浜松 ー2.8℃
   天竜 ー5.6℃
   つくば ー7.7℃

 
 
写真- ⑯練馬の位置
 
 
           表① 霧島市(牧の原)、東京都(練馬)、茨城県(筑波)の気温とサンジョアキン、
               カンポスドジョルドンの最低気温、日平均気温の比較
                  最低気温の平均値と全日平均値は、日本の3ヶ所は15年、
                    ブラジルの2ヶ所は約40年の平均値
 
 
  種子を採取して頂いたカンポス ド ジョルドンとサンジョアキンはそれぞれ標高1,600mと1,400mの高地にあり、平均気温は関東以南よりやや低いが、最低気温の平均値は関東以南よりかなり高く、温暖である。しかし、年間の最低気温は関東以南に負けず低い。この原因は、高地であるために、気流の乱れによるゲリラ的な異常気象が起きやすいためと思われる。温暖な中で、急に雹や雪が降ることがあり、極端な「新記録」が出やすいと考えられる
    東京都の観測点として、都心を避けて練馬を選んだ。全ての比較項目とも霧島市の牧の原を抜いて、5ヶ所の比較地点の中で最も温暖である。大都市化気候がここまで進行したのだ。



      グラフ① 霧島市、東京都、茨城県、サンジョアキン、カンポス ド ジョルドンの気温

 
   表-②に練馬、表-③に府中、表-④に牧の原の2014年の温度記録を、表-⑤、表-⑥にブラジルの2ヶ所の記録をそれぞれ比較するために示す。特に最低平均温度と最低記録温度に大きな差があり、東京が温暖である。
 
表② 練馬の気温




   表③ 2014年の府中の気温                               表④ 2014年の牧の原の気温

2014年府中の気温2014年牧の原の気温




 
    表⑤ カンポス ド ジョルドンの気温




   



          表⑥ サンジョアキンの気温
       


     表-⑦に、気象庁の観測点がある霧島市の牧の原とそれがない前田農園の冬場の気温差を比較した。標高が約400m高い牧の原が、標高8mの前田農園に比べて最高温度は約5℃、最低温度は約0.5℃低い。 しかし、今冬の最低記録温度は、牧の原のー3.5℃に対して前田農園がー5.3℃と2℃弱低かった
  例年の平均気温は感覚的に言って前田農園付近が2~3℃高いと考えているが、各年の最低記録温度はどちらともいえない。

 
表⑦ 霧島市牧の原と前田農園の冬場の気温(℃)



前田さん 小出さん 池田さん

                有隅です

 

 

São Joaquim のイペーに関し、私が一番興味を持っていたのは、SJ市に関する情報の中で私がGoogle Earthで見付けたイペーの写真が、いったい何という「種」なのか、そしてそれがこの地域一帯に元々土着していた「種」なのか(人間が外から持ち込んだものでない方が有難い)、という2つの点でした。

 

その私の疑問を池田さんにぶっつけていましたところ、1/15のメールで「SJにはイペーの自生あり」との回答をえていました。またつい最近、前田さんから頂戴したSJ種子由来の実生(SJ#2)の形態(特に葉表に深い皺を刻んでいるところ)を見て、これはまずT.albaに間違いない との結論に達していました。

 

つまりどういうことかと言うと、人類がSJに定着する遥か以前から、この一帯への土着を図ったT.albaは寒冷な気候の淘汰・選別を受けながら(この地に氷河期があったかどうか知りませんが)、今日の姿になってきた、ということです。ですからSJ以上に寒冷な、例えばUrupemaに土着したT.albaがあれば、それはSJ以上の耐寒性の持ち主ということがあり得ます。

 
一方、生き物には変異がある、というのが付きものです。ですから地域をSJ市周辺に限って耐寒性を見ても、変異があるはずです。その中から最強のものを選び出す、というのがわれわれに課され宿題だ、というわけです。
 
若しも現地に適切なヒトを得ることが出来たら、その方に現地の微気象を勘案しながら耐寒性最強で、かつまた観賞性等の諸形質でも最上の個体を選びぬいてもらう……それが精英樹ということになります。そしてこの精英樹は、出来れば複数あった方が有難い、ということが言えます。
 
さてその精英樹探しから、究極の品種化が出来るイペーが発見出来たら、それこそ御の字です。ですが幸いにイペーは、他家不和合性を原則としているようですから、われわれが好運にも手中に出来ているSJ#1#2は遺伝的に大変ヘテロな構成を持つ集団と見ることができます。その中からどうやって、最高の宝を探し出すか、そのことが出来るかどうか、つまり交雑による変異の拡大と慎重な選別によって究極のイペーにたどり着けるかどうか…… そこのところがわれわれに問われているのです。
 
前田さん São Joaquim #1#2T.albaという点では同じものです。そしてSão Joaquim 周辺にはこのT.albaのみが土着している、一方Curitiba周辺はこのT.alba(池田・前田白がそれ)と未同定の「種」(恐らくT.ochracea )が土着していて、従来からわれわれに親しかったT.chrysotrichaはこの周辺にはもともと存在しない、というのが私の考えです。







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2015年2月12日木曜日

今冬の気温最低記録更新:2月10日

 1月18日の今冬の気温の最低記録零下4℃(下記URLのブログ参照)を2月10日未明に更新した。畑に設置した最高最低温度計で最低大気温度零下5.3℃、ビニールハウス内部温度最低が零下1.0℃であった。畑に置いたジョーロの満杯の水に厚さ7mmの氷が張った。因みに当日の東京の最低気温は零下2.4℃であった。
 畑その他のイペーの寒傷みの様子を動画に記録した。
                        2月11日15時過ぎ撮影
 
 1月18日の最低気温の様子は http://kirishiman.blogspot.jp/2015/01/blog-post_18.html
 
 
 
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2015年1月28日水曜日

パウ・ブラジル(Caesalpinia echinata)の種子到着と播種

 
 2015年1月28日、サンパウロから待望のパウブラジルの種子が到着しました。発送から40日かかりました。大浦農場の貴重な種子をサンパウロの友人を通じて譲って頂きました。ブラジル国内でも絶滅危惧種に指定されており、大変な貴重品です。八方手を尽くし、ここに辿りつくまで、いろいろな試行錯誤があり、約5年かかりました。昨年も当農場の種子を5粒播種しましたが、発芽に失敗しています。今年は45粒を播種しました。
 
 
2011年:大浦農場のパウブラジルの鑑定書


 
2014年12月:大浦農場の種子の採集状況・一粒を大事にする。
 
2014年12月:採集した種子(送付前)


種子到着の様子(1月28日)


播種の様子(1月28日10時)
 
 
保温状況・20~30℃で管理
 
 
播種30時間後(1月29日16時)
種子が膨れてきた



 
畑のビニールハウス内にも、二粒づつ2ヶ所に播種・これで合計45粒
寒い夜は桐灰カイロで保温する。最近のカイロは振らなくても発熱する。


 
パウブラジルを播種した日に、盆栽の梅が開花



2月9日(播種後12日め)写真撮影追加
播種した種子が腐敗して下の写真の分が全てになった。      
①と②:大小の差があるが、生育中。
③:双葉の一枚と生長点を虫に食われてダメ(①と②と同時に発芽成長)。
④と⑤、⑥:播種後8日で発芽しないので、腐敗しなかった約10個を               掘り出して水洗、皮を剥いで植え直したら発芽した。
⑦双葉の付け根まで根が腐敗した。双葉が見えるので根を洗い去って埋        めた。                                       

 
 
2月13日(播種後16日め)写真撮影追加
上記⑦の双葉の一枚がはずれて、双葉の片側に新芽がくっついていたので、
そのまま挿し芽した。芽が伸び始めたので根が出たのかもしれない。
 
2月16日(播種後19日目)写真追加(以下3枚)
 
上記③が新芽を出した。虫に食われて諦めていたが、
かじられた幹の頂点から新芽が出てきた。黒い部分がかじられた跡
 
 パウブラジルの周囲にある苗はカンポス ド ジョルドンのイペー
 
 
2014年12月:大浦農場での播種の様子・大浦文雄さん(90歳)
採種した種子は全て大事に育てる。2,000粒播種して1,500粒が発芽したとのこと。
 
 
 
2014年12月
 
 
 2011年:開花の様子。毎年開花結実するわけではない。


2011年

大浦農場はスザノ市(標高810m)にある


 ジアデマ市の友人からも種子を10粒送付して頂きましたが、発芽に失敗しました。失敗の原因は不明です。
 



パウブラジルに関連した記録:是非お立ち寄りください
http://kirishiman.blogspot.jp/2013/09/caesalpinia-echinata.html


  パウブラジルの挿し木に関する文献:
  サンパウロの松村滋樹さんから紹介して頂きました。
  
 播種(種子)での増殖が難しいブラジルボクを挿し木で増やす北東伯のアラゴアス連邦大学の論文を探しました。
原文を添付しますが要約すると:
1葉か2葉残した12センチの挿し穂根元に3-インド-ル酪酸(IBA) 或いは 1-ナフタレン酢酸(NAA)の粉末2500mgを1リットルの水に溶かした液を散布する。
砂床に挿し、噴霧しながら90-95%の湿度に保つ。120日経過しても70%の挿し穂は枯れず、16%で発根が見られた。
ブラジルでは一般にはIBAは購入出来ませんが、種屋さんなどでEnraizador(発根剤)が数種類市販されています。

Rooting cuttings of Pau-Brasil (Caesalpinia echinata Lam.) treated with indole butyric acid and naphthalene acetic acid

  • Autor(es):

    Endres, Laurício (Universidade Federal de Alagoas. Instituto de Ciências Biológicas e da Saúde. Centro de Ciências Agrárias);

    Marroquim, Paula Maria Guimarães (Universidade Federal de Alagoas. Instituto de Ciências Biológicas e da Saúde);

    Santos, Claudiana Moura dos (Universidade Federal de Alagoas. Instituto de Ciências Biológicas e da Saúde);

    Souza, Neirevane Nunes Ferreira de (Universidade Federal de Alagoas. Instituto de Ciências Biológicas e da Saúde).

  • Fonte:

    Ciência Rural; volume 37, número 3, páginas 886-889. Junho 2007.

  • Assuntos:

    vegetative propagation;

    auxin;

    Caesalpiniaceae.

  • Resumo:The 'pau-brasil' tree (Caesalpinia echinata Lam.) have a high cultural value in Brazil and its seed propagation is very difficult because of its rapid losses of germination potential. Cuttings propagation has been considered as alternative method to propagate forest species that seed propagation is poor. The objectives of this study were to determine the effects of indole-3-butyric acid (IBA) and naphthalene acetic (NAA) acid on the adventitious root formation on stem cuttings of "pau-brasil". Cuttings with around 12cm length, with two pars of leaves, received a basal treatment of 0; 6,25; 12,50; 25 and 50mM IBA and NAA as solution form or 0, 1,250, 2,500, 5,000, 10,000mg Kg-1 as powder form. All cuttings were planted in cell trays containing sand and placed under greenhouse mist (90-95% relative humidity). After 120 days, cuttings were assessed for survival, foliar retention, callus formation and roots formation. There were high survival rate (up to 70%) of the cuttings. Callus formation was not correlated to auxin concentration. The utilization of liquid 25mM of IBA and NAA promoted the highest percentage of root formation, around 16%. The high survival rate associate with low percentage of root formation suggests that the cuttings may need longer time in greenhouse in order to stimulate root formation.
  • Acesse o texto completo (Português)

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