庭の親木(樹高約7m)の種子が落下して6月頃庭で自生した当年生の苗を、9月にビニールポットに移植したものを、12月から自宅の寒さの異なる場所に置いて耐寒性を調べました。試験は2010年6月10日、順調に終りました。今年は異常寒波を経験し、庭の水鉢に4mm程度の氷が張りました(零下2~3℃)。その際、最も寒い場所に置いたポットの土を掘って凍結深さを確認したところ、4cm程度でした。
尚、ポット植えの用土は培養土に適量の油粕を配合し、他の花鉢(No.5)以外は無肥料です。
試験方法全体は昨年12月の当ブログ参照。
1.結果の概要
①6月10日時点で最も樹勢がいいのは、最も寒い場所に置いて生き残っ
た14本のグループ(15本中1本は枯れ死)であった。2月末にはすべて
落葉したが幹の枯れ上がりなどはなかった。
②最も樹勢が悪いのは、最も暖かい場所(家の軒下)に置いた15本のグ
ループ及び軒下のビニールトンネルで保護した約200本のグループで
あった。両方とも4月中旬、新芽が出るまで落葉しなかった。 ビニール
トンネルのものの中には、現在も落葉せず、新芽が出ないものがある。
③暖かい場所に置いたポットより、寒い場所に置いたポットが平均的に見
ると約10日程度早めに新芽が出て、その後の成長も早い。
④庭で自生したままのものは、ポットに移植したものに比べて極めて成長
が遅い。肥料不足のためと思われる(ここは霜が降りない)。
2.まとめ
我が家の庭にあるイペーアマレーロは当地での耐寒性は充分にある。
保温などで甘やかすとよくない。又、肥料分が不足すると成長が遅い。
3.考察
暖かい場所に置いたものが、寒い場所に置いたものに比べて生育がよく
ない理由は、冬中落葉しないため春先の発芽が遅れることが原因と思わ
れる。
代表的な3試験区の概況です。下の写真は比較するため、一ヶ所に集めて撮影しました。
右から No.1:ポット区(15ポット)
最も寒い場所
最も生育がよい。
No.2:トレー区(12本)
最も生育がよい。
No.2:トレー区(12本)
中間の寒さの場所
肥料不足で生育不良。
No.3:ポット区(15ポット)
肥料不足で生育不良。
No.3:ポット区(15ポット)
最も暖かい場所No.1に比べて劣る。
(各写真は2段階に拡大可)
以下は、寒さの異なる各試験区に置いた試験サンプルの6月10日の状況の詳細です。
No.1:ポット区(15本)
1本枯れ死した(左下角)が、他は快調。
(各写真は2段階に拡大可)
以下は、寒さの異なる各試験区に置いた試験サンプルの6月10日の状況の詳細です。
No.1:ポット区(15本)
1本枯れ死した(左下角)が、他は快調。
No.2:トレー区(12本 )
No.1とNo.3に比べて生育が悪い。肥料不足が主因。
No.3:ポット区(15本)
全部生きているが成長が遅い。冬中、葉をつけていた。右下角の1本は前年葉が1枚残っている。
No.4: 庭で自然実生のまま。肥料不足で、成長が極めて遅い。
No.6:ビニールトンネル区(約200本)
日当りのいい軒下。肥料など、植え付け条件は他のビニールポットと同じ。全部、冬中葉を付けていた。
まだ前年葉をつけているものが多数あり(写真を拡大すると確認できる)、中にはまだ新芽が出ないものも
ある。発芽したものも発芽が遅かったので、伸びが遅い。
No.7:シード選手・最も寒いところに置いた2年もの。調子が悪い。昨年枯れ上がった後がある。固体差の問題か。
異常寒波の様子:1月13日の降雪。最も寒い場所に置いたポット区。
3月11日朝:水鉢の氷、厚さ約4mm。
後記:
有隅先生から、本報告について「植物は冬の低温で仕切り直しをします。その仕切り直しが、南半球原生のT.chrysotrichaにも見られたということを、たいへん興味深く拝見しました。」とのご感想を頂きました。
2 件のコメント:
貴重な資料有難うございました
和田さんから頂いて発芽した物を夏に大きく育て冬場は屋外越冬させてみます
ロッショの方はアマレーロより耐寒性は無いのでしょうかね?
江原
江原さん
コメントありがとうございました。
イペーは幹に比べて根が深く入りますので、
寒さで枝や幹がやられても芽を吹くチャンスは
あります。
ブログの「2年もの」がそうです。
ロッショは耐寒性がかなりないようです。
経験がないので、ビニール保護など慎重にやろうと思っています。
昨年12月14日に播種した和田イペーを畑に移植していますが、樹高が耐寒テストの2年目のものを追い越しています。肥料や土室などの条件が大きく影響します。
明日このブログに写真を追加します。
コメントを投稿