この項目は2011年10月にアップロードした内容の再アップです:
鹿児島県初の公共関与の産業廃棄物処分場計画に、薩摩川内市の処分場建設地域の皆様が激しく反対しておられます。甲子園球場とほぼ同じような面積の山間部の窪地に、約六十万立方メートルの廃棄物を十五年間に亘って埋め立てる計画です。
国内には廃棄物の管理型処分場が約千ケ所あり、これらの排水に有害成分が混入するなどで、多くの公害事件を起こしてきました。
一方、日本では廃棄物を中間処理したり、最終処分する技術が目覚ましく進歩しています。国の資金援助を受けた民間企業と早稲田大学との共同研究で、「山元還元」という「埋立て廃棄物ゼロ」を可能にするシステムが開発され、実用化されています。幸い、この新技術は九州の二つの会社で事業化され、すでに県内の数か所の地方自治体がこれを活用するなど、一般廃棄物の分野では「埋立て廃棄物ゼロ」を実現しつつあります。
企業が排出する産業廃棄物の分野でも、多くの地方自治体が採用している溶融処理システムや、民間企業の廃棄物中間処理技術を活用するなど、鹿児島県の総合的な廃棄物処理システムを構築して、「埋立て廃棄物ゼロ」を早期に実現すべきです。
国内の山元還元の工程を所有する会社の例(筆者調べ):
①光和精鉱(株)・北九州市
日置市クリーンリサイクルセンター(約300T/年)、千葉県流山市、八街
市、埼玉県所沢市などが飛灰を納入。
②三池精練(株)・大牟田市
姶良西部衛生処理組合(700~800T/年)などが飛灰を納入。
③三菱マテリアル(株)直島製錬所・香川県直島町
香川県さぬき市などの飛灰、土庄町豊島の不法投棄物などを納入。
④中央電気工業(株)・茨城県鹿嶋市
茨城県鹿嶋市、石岡市などの飛灰を納入。
⑤㈱MTR・青森県八戸市(三井金属(株)と太平洋金属(株)の合同事業)
八戸市などの飛灰を納入。ホタテ貝殻の処理との組合せ技術が特徴。
以下は参考資料です:
非鉄金属製錬業界のリサイクル原料・廃棄物処理技術に関するデータ
(経済産業省のホームページより引用)
非鉄金属製錬業のリサイクル技術・廃棄物処理技術を、事業として実施しているもの、国のプロジェクト等で研究開発に取り組んだもの或いは現在研究開発中のものについてとりまとめた。
これらの処理技術は、各社のホームページ、学会誌、公的機関の公開情報から抽出した。
次に示すNo.1~No.14 までは事業として実施しており、(1)企業名、工場・事業所名、(2)処理対象物をデータシートにまとめた。
No.1 小名浜製錬の反射炉によるシュレッダーダスト処理
No.2 小坂製錬の流動床炉によるシュレッダーダスト処理
No.3 東邦亜鉛小名浜の電熱炉による製鋼ダスト処理
No.4 三池製錬のMF炉による製鋼ダスト処理
No.5 細倉製錬の鉛バッテリー処理
No.6 神岡鉱業鉛リサイクル工場の鉛バッテリー処理
No.7 野村興産イトムカの水銀含有廃棄物処理
No.8 中外鉱業の貴金属含有物処理
No.9 日本ピージーエムの廃触媒処理
No.10 日鉱環境の廃棄物処理
No.11 苫小牧ケミカルの廃棄物処理
No.12 日鉱三日市リサイクルのガス化溶融炉による廃棄物処理
No.13 日鉱敦賀リサイクルの廃棄物処理
No.14 光和精鉱戸畑製造所の廃棄物処理
下記のNo.20~No.31 は国のプロジェクト等で研究開発に取り組んだもの或いは現在研究開発中のもの。 (筆者註:No.15からNo.19迄が抜けている理由は不明です)
No.20 エネルギー使用合理化鉱山等利用技術開発
No.21 非鉄金属系素材リサイクル促進技術研究開発
No.22 産業汚泥に含まれる有価金属資源化技術の開発
No.23 省エネルギー型金属ダスト回生技術の開発
No.24 エネルギー使用合理化技術開発(飛灰無害化技術開発)
No.25 廃家電の非鉄金属等複合部材及びプラスチックのマテリアルリサイクル技
術、断熱材ウレタンのサーマルリサイクル技術の開発
No.26 廃家電、廃自動車の非鉄金属回収に伴う燃焼排ガス中のハロゲン最適処
理技術の開発
No.27 廃家電の非鉄金属回収に伴う高温・低温焼却技術、燃焼排ガスの湿式処
技術の開発
No.28 廃家電(廃プリント配線基板主体)の非鉄金属回収技術及び高効率前処理
技術の開発
No.29 非鉄金属の同時分離・マテリアルリサイクル技術開発
No.30 電炉技術を用いた鉄及びプラスチックの複合リサイクル技術開発
No.31 エネルギー使用合理化製錬/リサイクルハイブリッドシステムの開発
(筆者は山元還元の国内外の実施例を調査中、求む情報)
「山元還元」のご説明と筆者の願い:
「山元還元」とは、廃棄物を処理する溶融炉などの集塵機で回収された飛灰に、2~12%含まれている鉛、カドミウム、亜鉛、銅などの非鉄金属を精錬して回収すること。
通常、一般廃棄物はリサイクル品、瓦礫類などを除いて溶融処理され、路盤材などに活用される。
近来、その工程で発生する飛灰だけが埋立て処分されていたが、これも有効活用する技術が開発され、ゼロエミッションシステムが完成した。
産業廃棄物は可燃成分が少なくて、溶融処理の燃料費が高くつくことなど、採算優先で埋立て処分されてきた。
納入単価が高い「特別管理型」の医療廃棄物などを手始めに、溶融処理を採用する先進的な民間企業が出てきた。
筆者は、エネルギー効率が極めて悪い発電までやれるほど(又はやれなくても)、可燃成分が多い一般廃棄物と産業廃棄物との総合的な管理システムを構築して、鹿児島県、日本全体のゼロエミッションシステムを構築することを提案している。
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夢に挑戦・・・、そして感動を!
16 年前
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