2000年にイペーを1本庭に植え、2009年から日本国内にイペーを展開すべく、53種類以上の試験栽培を行ってきました。多くの皆様のご協力で、タベブイア・アルバが抜群の耐寒性を有することが確認できました。そのタベブイア・アルバの中でも耐寒性に優劣があり、昨年から新たに9種類を加えて、タベブイア・アルバだけでも合計約15種類を試験栽培しています。イペー全部では淘汰されたものを除く約40種類を育てています。
今春のタベブイア・アルバ、ロットNo.「JS121117(親木は池田邸前、2012年11月播種)」の大量の移植(畑での根廻しや試験栽培先、ご近所への移植)及び挿し根、挿し木の試験結果などから、最適なイペーの移植、増殖時期について考察しました。(写真はすべてクリックで拡大します)
その1. 4月18日:
東京の神代植物公園殿向けに、タベブイア・アルバ1.5mものを2本発送した。大きくなりすぎて宅急便で搬送できなくなりそうだったので、予定より時期を早めた。この際、17本挿し根をし、15本が活着し、活着率は88.2%であった。成長は極めて順調。8月5日現在、樹高約1m。
その2. 6月5~8日:タベブイア・アルバの増殖が必要になったので、樹高約3mの木からサンプリングして挿し根と挿し木をした。探り掘りした根を142本、不要枝を整理したもの58本を挿し床に挿した。挿し根は48本が活着し、活着率は「その1」に比べてかなり悪く33.8%であった。挿し根の時期が約50日遅れたために大きな差がついた。活着した挿し根の直径は3mmから20mm程度である。
挿し木の活着率は予想外の0%であった。時期が遅すぎた。従来の経験ではイペーの挿し木や挿し根は時期が適切であれば極めて容易である。
挿し木は全滅。
その3. 6月16~20日:樹高約3mの木を、来春出荷する可能性が出てきたので、根廻しをすることにした。これが、挿し根に関して惨憺たる結果を招いた。
①16~19日に比較的小型の3m以下のもの19本の根廻しを完了、挿し根を123本し5本が活着した、活着率は4.1%で話にならない。
②20日に時期が遅いので実行を迷っていた3.5mもの5本の根廻しを決行し、挿し根を畑2ヶ所に70本した。7本が活着し、活着率は10.0%で話にならない。
更に、根廻しをしたイペーの樹高が高い順に枯れ始めた。根廻しの時期が遅すぎた。8月3日に5本を生きている部分で切断した。下部からの発芽を期待しているがどうなるかわからない。残念無念。
大半は落葉もせず活着した。
結論
日本で植栽実績が少ないイペーに関する移植や増殖技術の難しさを感じています。現在までの経験では、前田農園から国内へのイペーの移植の適期は、4月初めから5月末までと考えます。勿論、移植先の気候を考慮して決めるべきです。イペーは落葉樹に分類されていますが、常緑樹になりたがっている樹種ではないかと思います。特にポルトアレグレ市の風車小屋公園のイペーロッショにその性質を感じます。一般的に耐寒性が弱いロッショですが、「風車小屋ロッショ」は下手なアマレーロに勝ります。
日本で、一般の落葉樹で行われる秋植えは未経験ですが、イペーでは危険だろうと思います。
参考資料-1:挿し根の実行日程詳細
http://kirishiman.blogspot.jp/2016/06/20166.html
参考資料-2:降水量データ(牧の原観測所)
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