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霧島市, 鹿児島県, Japan
造園施工管理技士、土木施工管理技士、公害防止管理者(大気、水質各1種、 騒音、振動)

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2019年2月2日土曜日

ブラジルの高地のイペーと中空でない竹: Ipe & Chusquea pinifolia

  耐寒性に勝れたイペー(まずはアマレーロ)を確認したく、調べています。眼を付けたのがブラジル南部の標高1,500m以上の高地です。海抜0mから1,800m迄急峻に立ち上がった山地があり、基本的には一年中強い偏西風の影響を受けて、これに南東貿易風が影響を与える変化の激しい気候です。真夏でもゴルフボール大の雹が降ります。果樹園は雹よけのネットを張るくらいです。これらの高地に立ち入るのは簡単ではなく、天候不順や猿が伝染病で死亡するなどで、入山禁止になることもあります。
 このような激しい気候の高山に生育するイペーに眼を付けました。当面「イペーC」とします。
  昔、「イペーの育っている土地は買うな」と言われたそうです。そして、イペーの育った跡地を耕作する場合、石灰を大量に投入しないと作物ができなかったとのことです。イペーは痩せ地や酸性土壌のの優先植物だと思われます。どんな場所でも育つ強靭さを備えているのです。そのような意味で、現在高山に生育しているイペーは、他の植物が現状のように繁茂する以前からここの地に育っていたのではないかと推測します。世界の主たる造山活動は1,000万年前までに完了しています。造山活動で形成された山地は痩せ地です。他の植物より痩せ地に強いイペーは、優先植物として繁茂したのではないかと考えます。土地が肥沃になるにしたがって他の植物が繁茂し始めてイペーを駆逐したのではないでしょうか。優秀な建材であるために、人間が切り倒して絶滅寸前になったのは長期にわたる自然現象とは次元の違う話です。
 
  ブラジルの高地の起源と気候:
 この高地は Serra de Mar(海の高原) と呼ばれており、特殊な地形と地層で出来ています。地球が誕生して46憶年たちますが、この高地は45億年前の地層を基盤としています。白亜紀(1億4,500~6,000万年前)から第三紀(6,430~260万年前)の間に、アルカリ性花崗岩の岩脈が生成しました。これが隆起して地球の皮がむき出しになったやせ地なのです。沢山ある山の山頂付近に大きな花崗岩の塊が見られます。
  このように特殊な起源の地層と特殊な気候のため、他で見ることのできない特殊な植物が生育しています。ここでしか見られない原生植物や原生動物が豊富です。主幹が中空ではなく中実の竹(Chusquea pinifolia、ブラジル原種)や特殊なイペーが生育しています。
 この研究結果から推測して、この地のイペーや中実竹は1万年前の最終氷河期の最低気温の時代を現地で生き延びたと考えられます(下図参照)。標高1,500m以上の山でも乾燥サバンナの状態で、植物の生育が可能だったと考えられます。痩せ地や乾燥に強いイペーや中実竹は他の植物より強く、優先植物として繁茂した可能性があります。
        
  Serra do Mar に Pico Caratuba という山があります。この Caratuba は Chusquea pinifolia の別名とのことです。 Chusquea pinifolia(別名Caratuba)が沢山繁っていたから、この山の名前になったとのことです。1万年前の最終氷河期の最低気温の時代にCaratuba山の頂上を覆っていたと考えられています。このことを書かれた方のホームページの1ぺーじを転載致します。私の理論と基本的にほぼ同じことが書かれています。 
 
画像をクリックすると鮮明になります。 翻訳に誤りがあれば教えて下さい)
 
 
 
最終氷河期の最寒冷期における世界の植生


氷河期は10万年周期で訪れる
 
      Serra do Mar の位置 
  

イペーC の分布 
 
狙った場所は標高1,500m以上の高地
 
 
 
 
 
前田農園で 試験栽培したイペー達の故郷(90種類中ごく一部を表記) 
 
 
標高1,500m以上の高地
 
アラサツーバ 山 1,500m付近 イペーC ではない。


  以下は、登山記録として youtube に公開された動画約400編をチェックして、イペーが偶然写っている場面をとらえた。全て標高は1,500m以上のようである。著者に問い合わせているが正確な返事が頂けない。イペーを意識して撮影しておられないのだ。
 
 Taipabuçu のイペー
 
モンテクリスト・ガルーバのイペー
https://www.youtube.com/watch?v=CoanAXW8lRY&t=359s の5′40″付近
 
Pico Ciririca のイペー   07 e 08 de setembro de 2017.
  https://www.youtube.com/watch?v=3XnNA7BbLtU の46′26″付近
  
イペーC
Arizona State University Vascular Plant Herbarium HPより
 
イペーC
Kew Science  HPより
 
Chusquea Pinifolia 
 
以上2葉 http://www.pedrohauck.net/2012/05/sementes-de-caratuva.htmlより引用

  Chusquea Pinifoliaの分布、イペーCの分布と重なる部分がある
このサイトはChusquea Pinifoliaを詳しく背tる名している。
 
 気候のお話のついでに、地形と土質のお話を致します。
 Caratuba山(及び付近の高山)の頂上付近には大変大きな花崗岩が存在します。花崗岩はマグマがゆっくり冷却されて生成したもの(異説もある)です。すなわちこの付近の高山は隆起して生成されたものです。頂上付近は降雨で洗われた痩せ地で、厳しい気候です。他の植物に先駆けて強靭なChusquea Pinifolia(大量)イペー(少数)などが優先植物として繁茂したと思われます。
 詳細は以下をご参照下さい:
 
 
                     以下出典:http://www.pedrohauck.net/2011/06/geo-caratuva.html
 
 Blocos em subsuperfície e esquema mostrando sua evolução na visão de Twidale (Analyses of landforms)
 
 

   サンタカタリーナ州のラージェス市で、ゴルフボール大の雹が降る動画:
     
 
 

 
 
 

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