ポンポン状の大変美しい花が咲く、イペーアマレロがあります。下の写真は Tabebuia alba という種類です。樹形もよく、耐寒性もかなり期待できるのではないかと思っています。硬くて強い材質のためブラジルでは森林での伐採が進み、絶滅危惧種に指定されています。
クリチーバ市在住の池田久成氏が、EMBRAPA (ブラジル農牧研究公社 ・Empresa Brasileira de Pesquisa Agropecuária) Ministério da
Abastecimento, Pecuária e abastecimentoの内のEmbrapa Florestas を訪問され、種々情報を得られると同時に、4分冊で2千ページ以上、重量18Kgのイペー関連資料を購入されました。以下はそれを基に調査された内容です。 (2016 年3月記録追加)
イペーアマレロ:Tabebuia alba
2011年8月20日・池田久成氏撮影
JS121117の親木・池田久成氏撮影(2011年8月・池田氏のご自宅前)
同上(2012年頃)
同上(2015年12月・google earthより))
播種12ヶ月目のタベブイア・アルバ:樹高1m(前田農園)
2013年12月4日・前田撮影
イペーが3列あり、左右の列はイペー・ブランコ
同上:白色の葉裏と新梢 ・alba(白)の語源になった。
( 写真はクリックで拡大)
7枚葉(小さな木の葉は銀色になりにくい)
成木の葉
池田久成氏の情報:
イペーアマレロ:Tabebuia alba について書いてみます。
Dr. Paulo Ernani Ramalho Carvalho
セアラ洲 フォルタレザ生まれ、1971年パラナ洲クリチーバに在る国立大学農林化学科卒業後こちらで大学教授、南三州にある木材の研究調査された。中国へも訪問、そしてEMBRAPA で国の協力で研究資料作成。
- 分類:Magnoliphyta (Angiospermae)
- クラス:Magnoliopsida (Dicotiledonae)
- 種類:Tabebuia alba (Chamisso) Sanduith (
イペーアマレロ ポンポン)
- 植物同義語:Handroanthus albus (chamisso)
由来:タベブイア はインジオ語で アルバ(alba)はラテン語から来ておりalbus (branco-白)です。
自生地域はアルゼンチン北西部、1963年に東部のパラグアイ国で見つかった。
緯度 11度10 バイア洲 ~ 31度 リオグランデドスール洲、 海抜 80 ~ 1600m
自国の方言 :
Minas Gereis - Ipê Ipê do cerrado, Ipê-amarelo de folha branca,
Ipê-branco
Paraná - Ipê-amarelo de folha
branca
Santa Catarina - Ipê-mamona
Sâo Paulo - Ipê-dourado (金色のイペ)
Rio Grande do Sul - Ipê vacariano, R.G.sul とSanta Catarina - Ipê
pardo, Ipê da cerra.
Bhaia, Goias - Pau da arco-amarelo,
Taipoca.
Argentina - Lapacho.
Paraguay - Lapacho amarello.
- Tabebuia Gomes: 100種類存在。
- Tabebuia alba: ブラジルには12種類ある。これらは記載無しですので4種類の種を送ったのですが私には何が何だか判りませんので了解願います。
イペの花は食用できるとのことです。皮は煎じて飲むと小便促進(diuretico) 利尿剤の役目。
イペーロショ (Tabebuia
heptaphylla) (青紫のイペ)の内皮をお茶にすると風邪薬、血液の清浄剤として良いとのこと。
タンニン酸8.8%, たんぱく質21%, アルカリ性剤、綿や絹の色染めに使う。
前田追記:
①Tabebuia alba の別名
Wikipedia(
http://pt.wikipedia.org/wiki/Ip%C3%AA-amarelo-da-serra)に下記記述があります。
Outros nomes populares(
前田訳:一般的な別名):
ipê-ouro, ipê-amarelo, ipê-da-serra, ipê, aipê, ipê-branco, ipê-mamono, ipê-mandioca, ipê-pardo, ipê-vacariano, ipê-tabaco, ipê-do-cerrado, ipê-dourado, ipezeiro, pau-d’arco-amarelo, taipoca
②Tabebuiaの分類とIpe
Wikipedia(
http://en.wikipedia.org/wiki/Tabebuia)に下記の記述があります(下に訳文)。
Tabebuia is a
genus of
flowering plants in the
family Bignoniaceae.・・・・(中略)・・・・
In 1992, a revision of Tabebuia described 99 species and one hybrid. Phylogenetic studies of DNA sequences later showed that Tabebuia, as then circumscribed, was polyphyletic.[3] In 2007, it was divided into three separate genera. Primavera (Roseodendron donnell-smithii) and a related species with no unique common name (Roseodendron chryseum) were transferred to Roseodendron. Those species known as ipê, pau d'arco, or poui were transferred to Handroanthus. Sixty-seven species remained in Tabebuia. The former genus and polyphyletic group of 99 species described by Gentry in 1992 is now usually referred to as "Tabebuia sensu lato".
The generic name is derived from words used for these trees by the Indigenous peoples in Brazil.
日本語訳:(前田)
タベブイアはノーゼンカズラ科の顕花植物の中の一つの属です。・・・・(中略)・・・・
1992年にタベブイアの改訂で、99種と1種のハイブリッドが記述された。その後のDNA配列の系統面における研究で定義されたタベブイアには多くの系統があった。2007年に、それは三種類に分割された。プリマベイラ(Roseodendron donell-smith)、および関連した独自の共通名を持たない種類(Roseodendron chryseum)はロゼオデンドロン(Roseodendron)に移された。イペー(ipe)、紫イペー(pau d'arco)又はポウイ(poui)として知られているものはハンドロアンサス(Handroanthus)に移された。67種がタベブイアに残った。1992年にGentryが記述したタベブイアの、旧来の種類と99種の多系統グループは、現在、通常は「広義のタベブイア」と見なされている。
属の名前(generic name)は、先住民族がこれらの木に用いていた言葉からきている。
[前田註]
1992年に定義した100種のTabebuia属を2007年に三分割した。
①ロゼオデンドロン[Roseodendron]属: It consists of two species, Roseodendron donnell-smithii and Roseodendron chryseum.
②ハンドロアンサス[Handroanthus]属:It consists of 30 species of trees, poui, pau d'arco, or ipê.
③タベブイア[Tabebuia]属:1992年に定義した99種のタベブイアから、上記①②を除いた67種
③Handroanthus の説明。
Wikipedia(
http://en.wikipedia.org/wiki/Handroanthus)に下記の記述があります(下に訳文)。イペーアマレーロなどは Handroanthus属 の仲間です。
Handroanthus is a genus of flowering plants in the family Bignoniaceae. It consists of 30 species of trees, known in Latin America by the common names poui, pau d'arco, or ipê. The latter sometimes appears as epay in English. The large timber species are sometimes called lapacho or guayacan, but these names are more properly applied to the species Handroanthus lapacho and Handroanthus guayacan, respectively.
日本語訳(前田)
Handroanthusはノウゼンカズラ科の顕花植物の属である。これは、一般的な名前のpoui 、紫イペ、またはIPEとしてラテンアメリカで知られており、30種の樹種で構成されている。後者は時々英語でEPAYとして表記される。大規模な樹種は時にはラパチョまたはguayacanと呼ばれているが、これらの名前は、より正確には Handroanthus lapacho 種とHandroanthus guayacan種と標記される。
④タベブイア(Tabebuia)の語源
Wikipedia(
http://en.wikipedia.org/wiki/Tabebuia)に下記の記述があります(下に訳文)。
The name Tabebuia entered the botanical literature in 1803, when António Bernardino Gomes used it as a common name for Tabebuia uliginosa, now a synonym for Tabebuia cassinoides, which he described as a species of Bignonia. Tabebuia is an abbreviation of "tacyba bebuya", a Tupi name meaning "ant wood". Among the Indigenous peoples in Brazil, similar names exist for various species of Tabebuia
日本語訳(前田)
タベブイア(Tabebuia)という名前は、1803年に植物文献に入った。アントニオ ゴメスが、彼がBignonia種としていた タベブイア ウリギノーサ(t.uliginosa)に一般名として使用したのが最初である。タベブイアは「アリの木」を意味するツピー語の「tacyba bebuya」の略語である。
ブラジルの先住民族の間には多くの種類のタベブイアに対して似たような名前がある。
クリチーバ市のルイ・バルボーザ広場のタベブイア・アルバ
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ipe-amarelo_curitiba.jpg より写真引用
View of Curitiba, Brasil. Rui Barbosa Square.
End of Winter and Tabebuia alba (ipê-amarelo) blossoming.
20 August 2006
2014年7月26日追記:
池田さん 前田さん 小出さん
有隅です
「池田ポンポン」はTabebuia alba(=Handroanthus albus)だと同定していましたが、今回私が頂戴した種子からの植物は異種(恐らくT.serratifolia)ではないか、と思いました。その理由は、以下のとおりです;
(1)この「池田ポンポン」関係で、私が最初に落掌したのは、前田さんから頂戴した実生小苗8株でした。
(2)この実生苗の特徴は、葉の表に皺が目立つこと、また葉裏が白っぽいことで、恐らく成木になったらその成葉の葉裏は、「種名」の元になったalbaそのものになるのではないか、と思っています。
(3)次に池田さんから私のところに直接、5種類5袋の種子池田「2‐1」「2‐2」「3」「4‐1」「4‐2」が送ってきました。多分「2」「3」「4」の3種類だったのかもしれませんが、私は袋別に別々に取扱うことにしました(合せることは何時でもできますので)。
(4)この池田さんからの直接の種子の他に、ほぼ同じ時期に、前田さんを通じて2種類の種子を落掌しました。種子の色が違っていることから、前田さんに準じて池田・前田「黒」「白」と呼ぶことにしました。
(5)これらの種子は、春暖かくなってからというので、この3/29に播種しました。それで現在、7種類の実生小苗と最初の「前田実生」の合計8系統が、私のところで育っていることになります。
(6)さて種子からの実生で「前田実生」(=T.alba)のソックリサンは、池田・前田「白」のみで、他は葉の裏が緑で、皺も余り目立ちません。同じ「種」とは、到底考えられないのです。その一番大きな特徴は、葉縁に顕著な鋸歯がある点です。それでずばり学名通りのT.serratifoliaではないか、と思いました。
(7)ところで橋本梧郎先生のTabebuia属の検索表で、T.serratifoliaは何と「葉縁は全縁」の部類に入れられていて、「時に鋸歯がある」と記載されています。「時に鋸歯」で、何で「serratifilia」になったのでしょうか? 矛盾を感じます。
(8)一方、図鑑ARBORES BRASILEIRAS(この文献も原版のポルトガル語版と英訳版で、写真に食い違いがある場合があって、若干信頼が置けない)を見ますと、T.serratifoliaの花房は各小花の花柄が短いので、全体がキッチリ詰まった薬玉状の、ポンポンと呼ぶにふさわしい花房を呈しています。
(9)これに対してT.albaの花房は、複合花房とでも呼んだらよいのでしょうか、複数の小花房の集まりになっていますので、小花数自体は数が多いのですが、全体がルーズで、バラケタ花房になっています。キッチリした薬玉状ではないのです。
(10)さて、池田さんにお願いしたいのですが、今回お送り頂いた種子から育ちつつある実生の様子を見ますと、私には2種類の「種」がごっちゃになっているように思えます。1つはT.alba、そして今ひとつを私はT.serratifoliaではないか、と考えました。
採種をされた原木(親木)をご覧になって、1つは葉の裏が白ポクッて、大きいがしまりのないルーズな花房、今ひとつは葉の鋸歯が際立った、コンパクト花房ではなかったでしょうか? ご確認を願えたら、有難いです。
Tabebuia Serratifolia の写真です:
2015年11月17日追記
有隅先生のコメント:
植物の分類階級でいうと、界、門、綱、目、科、連(族)、属、節、列、種と続きますが、われわれが普通に(普通の生活の中で)問題にしているのは何科、何属の何という「種」かということ(familyとgenusとspeciesの3つ)です。・・・途中略・・・
先ずTabebuiaなのか、Handroanthus
なのか、Roseodendronなのかということ(最近の分類で昔のTabebuia属は3属に分けられるようになった)、次いでHandroanthus
属のalbusなのか、chrysotrichusなのか、heptaphyllusなのか、impetiginosusなのか、ochraceusなのか、それともserratifoliusなのか、ということです。・・・あと略